ライフラインチャートで振り返る
日々の暮らしや仕事をする上で、あなた自身が大切にしている価値観は何ですか?
大切にしたいことを言語化することが、自分で自分にしっくりくるキャリア形成の最初の1歩です。
最初は曖昧なイメージでも大丈夫です。むしろ最初からはっきりとした「価値観」はないことも多く、試行錯誤しながら形成されていくものです。
自分にとっての大切なものは何かを認識し、捉えなおしていくことで、より自分らしくキャリアを歩むことはできると考えます。
明確に「●●になりたい」と目指す姿が明確にではなくても、「だいたいこっちの方向だろうか」と見当がつくだけで、最初の一歩を踏み出すことができます。
そのヒントは、自分自身が通ってきたこれまでの人生の中に必ずあります。自分の人生を振り返り、深堀りする方法の1つが「ライフラインチャート」です。
縦軸に「満足度」、横軸に「時間(年齢)」を描き、真ん中に横線を引いて、その年齢での自分の満足度はどうだったかを波線で書いていきます。満足度は、「調子」に置き換えてもいいでしょう。
図は、生まれてから現在までの長い期間のライフラインチャートです。
波の上下に自分の価値観が表れる
小さいころからのグラフを書くことで、自分が生まれ育ってきた環境や、元々の気質、影響を受けたことなどを思い出すことができます。
例えば、
・家庭の影響
・好きだった遊び
・ネガティブに感じたこと などです。
これを、歳を追うごとに思い出しながら書いていきます。グラフに言葉で思い出したことを書きこんでおくのもいいでしょう。幼いころ、学校時代、社会人になってから…
上のグラフは分かりやすくした例ですが、実際に書くグラフは人によって全く違い、もっと波が細かく、たくさん上下があるかもしれません。
そして、波が上下に振れるところが、自分に強い影響のあるものが表れやすいところです。
波が上がっている部分が、自分にとって満足度が高い部分です。
エピソードから価値観を考える
では、なぜ満足度が高かったのでしょうか?
・部活に打ち込んで県大会で成果が残せた
・気の合う仲間と活動できた
・ソーシャルワーカーとして成長できた
など、色々な理由が出てくると思います。そして、この理由を深堀りしてみます。
・ソーシャルワーカーとして成長できた
└実習指導者の研修に派遣してもらえ、実習指導を始めた
└実習指導をすることにより、自分自身のソーシャルワーカーとしての学びが深まり成長した実感があった
└指導した学生さんが真剣に実習に打ち込み、ソーシャルワーカーの卵として成長していく様子が見られた
さらに、こんな風に深堀りできるかもしれません。
・ソーシャルワーカーとして成長できた
└実習指導者の研修に派遣してもらえ、実習指導を始めた
→自分が所属機関で認めてもらえた(周囲からの承認)。成長の機会がもらえた(成長意欲)。
└実習指導をすることにより、自分自身のソーシャルワーカーとしての学びが深まり成長した実感があった
→学び自体を楽しんだ(学習意欲がある)。自身の成長が感じられた(成長意欲)。
└指導した学生さんが真剣に実習に打ち込み、ソーシャルワーカーの卵として成長していく様子が見られた
→他者の成長が報酬になる(貢献)。育成に向いている?
これは私が実際に、実習指導をした時のことを思い出して深堀してみたものです。水色で書いた部分が、見出した自分自身の価値観です。簡潔にまとめると、以下のように言い換えることができます。
・周囲から認めてもらえると嬉しい
・成長意欲・学習意欲がある
・他者への貢献したい気持ちがある
・育成を楽しめる
ライフラインチャートの色々な活用法
今回の図では、生まれてからこれまでの長い期間を示しましたが、ある程度の期間に区切って使うこともできます。
例えば、「社会人になってから今まで」や、「この1年間だけのライフラインチャート」のように、期間を区切ればよりその時のことだけを深堀しやすくなります。
また、↓図のように「仕事」「体調」「プライベート」など視点をいくつか持って書いてみると、それぞれの相互作用も見えやすくなります。
ライフラインチャートは、これまでの人生を振り返るのにとても使いやすいツールです。何度か描いたことがあっても、時間を置いて取り組んでみると、以前とは違う過去の解釈をする自分に気づくこともあります。
1年の振り返りに、毎年行うのもおすすめです。気づいていなかった自分に会えるかもしれません^^
次は、自分らしいキャリアを考える③現在地を知るです。